シベリア抑留者郵便葉書

ВЛАДИВОСТОКЪ【浦潮斯徳】

ハバロフスク収容所~俘虜郵便葉書


ハバロフスク地区102収容所から新潟県東頚城郡の家族宛の俘虜用郵便葉書(往)です。
(着印はありませんが無事に家族の元に届いた葉書と思われます。)
19481113日にВЛАДИВОСТОКЪ(ウラジオストック)郵便局の消印が確認できますが、着印は無く消印の日付以外に「年月日」の記載はありません。

シベリア抑留者

1941年(昭和16年)413日に締結した日ソ中立条約を1945年(昭和20)年88日にソ連側が破棄して、日本に対して宣戦布告。
日本の支配下の満州(中国東北部)・南樺太(サハリン島南部)及び千島列島に侵攻、日本軍人や軍属を中心とする約60万人をシベリアの収容所に連行、そこで様々な労働が課されました。
戦争が終結しても「極寒、劣悪な生活環境で過酷な強制労働」を強要され厳しい収容所生活によって、1割の方が帰還を果たせず命を落とされそうです。生き残った抑留者(約47万人)は、19504月までに日本へ帰還する事ができた様です。

俘虜郵便葉書

シベリア抑留者と家族を繋いだのが画像の「俘虜郵便(往復葉書)」です。
この葉書は、其々の収容所で抑留者に支給されたもので、原則無料となっています。
抑留者が葉書の上半分(往信面)に文章を書いて送り、家族は葉書の下半分(返信面)に便りを書いて送り返す様になっています。
194610月~1950年頃まで、抑留者に広く支給された俘虜郵便葉書にはソ連と日本を占領統治していたアメリカ(GHQ)双方の検閲印があります。
特に、ソ連の検閲は厳しく「収容所の場所や暮らしぶり」「従事している作業や労働の内容」「ソ連に対する批判」等は書くことが許されず、日本語に不慣れなソ連の検閲官でも読みやすい様にカタカナ書を指示された様です。

シベリアからの引揚者


昭和20107日に引揚第1船「雲仙丸」が舞鶴に入港して以来13年に渡り66万人以上の引揚者を迎え入れた、京都府舞鶴市の舞鶴港に生還された人の葉書です。
4年間程シベリアのハバロフスク地区102収容所に抑留されていた抑留者が、引揚船で無事に舞鶴港に入港した事を知らせる為に書かれた葉書です。
舞鶴に3830分に上陸・・・シベリアの収容所で4年間の労働・・・8日午前1154分に到着(新潟県東頚城郡松之山村の実家)予定と記載されており、年・月の記載がありません。
京都府東舞鶴の消印には4日と確認できますが年・月は判読できません。
以上の情報に基づいて舞鶴引揚記念館の資料・平和祈念展示資料館等・確認できました資料と2通の葉書から得られました情さ報に基づいた推察。
シベリアのハバロフスク地区102収容所に約4年間収容されており、19481113日にВЛАДИВОСТОКЪ(ウラジオストック)郵便局の消印が有る俘虜葉書を投函。
・・年・・月3日 830分に引揚船で京都府東舞鶴市の舞鶴地方引揚援護局港に上陸、援護局で支給された旧議事堂2円(紫)葉書で新潟県の実家宛に無事に帰国できた報告と帰宅予定日時を記載して、4日(東舞鶴局の消印)に投函した葉書と推察できます。
19481113日にВЛАДИВОСТОКЪ局の消印後に俘虜郵便葉書が投函されています。
【旧議事堂2円(紫)葉書は昭和23910日(1948年9月10日)に発行されています】
19481113日以降の3日に舞鶴地方引揚援護局港に入港した引揚船を確認した処、1948123日に永徳丸・1948123日に遠州丸・1949103日に大郁丸がナホトカから舞鶴港に入港しています。
拠って、永徳丸・遠州丸・大郁丸の何れかの引揚船でシベリアから舞鶴地方引揚援護局港に帰国されたものと思われます。
ハバロフスク地区102収容所から俘虜郵便葉書を差出した時期と舞鶴地方引揚援護局港に引揚船で帰国された時は「ほぼ同時期」ではないかと考えられます。
何年か前になりますが、Yahooオークションで見かけたマテリアルです。
収集範囲外ではありましたが同一人物からのシベリア収容所からの俘虜郵便葉書と共に引揚船で舞鶴港に入港時の葉書が出品されており、入手したものです。
参考】GHQの指令で佐世保・博多・鹿児島・唐津・仙崎・宇品・舞鶴・田辺・名古屋・浦賀・函館の11カ所に地方引揚援護局が設置されていました。
舞鶴地方引揚援護局港は1945927日に開局し19581115日に閉局しています。
舞鶴引揚記念館は昭和634月に開館しましたが、平成279月にリニューアルオープンしています。
私は、リニューアルオープン前の舞鶴引揚記念館には行った事がありますが、リニューアルオープン後の舞鶴引揚記念館には未だ行っておりません。

平成271010日には収蔵資料のうち570点がユネスコ世界記憶遺産に登録された様で再度訪れてみたいと思います。

このマテリアルはオークションに出品(処分)予定をしております。希望される方は、「russee@outlook.jp」迄、連絡を下さい。

 

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